そんなふうにして過ぎていく/望月 ゆき
 

きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で





きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかった
夕立がやんで
運ばれてくる、夏の気配と
カーテンのすその匂い
それとおんなじくらいにきみのことが
好きだけれど
それも、書かない



毛羽立ってしまった
思い出とか、記憶、
しまいこんだそれらを忘れたふりをして 
あしたの天気のことなんかを話す
部屋の中は
心地よいうっとうしさと、孤独と、
しあわせのようなものが
飽和している
日記をつけるのは、もうやめよう
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