倫理学の授業にて、おとこと/
 
思い悩んで電話してくるどうねんだい男があまりに多すぎることや、おじいちゃんになっても色目をつかい、おんなを欲しがる老人さえも、皆わたしにはアダムなんかには見えてこなかった。

あたしだけは、男から生まれなかったおんなでいたいとさえおもってしまっていた。
大学で演劇を専攻していたし、能楽堂でバイトをしているし、大学の中でもどこか他学部とは変な種類のおんななのだと自分で決めつけていたから、正直有望な出会いも無いまま、大学も卒業に近づいていた。


倫理学の授業で授業の最後に堂々と、出席だけ取りに来た男が、
どうしても「とり」にしかみえなくておかしかったのに、次の授業であたしは彼を眼で追っ
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