存在が見え隠れして/ブルース瀬戸内
 
幻惑されるのが人生だと言い切るために
私は人生の何を知っているだろう?

新しい言葉の羅列を生み出すために
私は言葉の何を知っているだろう?

言葉の存在意義は輝くことでもないのに
あなたはどうして言葉を磨くのだろう?

その輝きの中に、美しさの中に、
私は逃避しようとしているのだろうか。

究極の無駄かもしれないことに
どうして人生丸ごと費やすのだろう?
究極だからだろうか。

時代が移ろっても移ろっても
私たちは一面、愚かなほどにロマンチストだ。
月が綺麗だったりすると
もう未来を手にした気分になるし
世界が味方になった気すらする。

幻惑されるのが
[次のページ]
戻る   Point(2)