存在が見え隠れして/ブルース瀬戸内
幻惑されるのが人生だと言い切るために
私は人生の何を知っているだろう?
新しい言葉の羅列を生み出すために
私は言葉の何を知っているだろう?
言葉の存在意義は輝くことでもないのに
あなたはどうして言葉を磨くのだろう?
その輝きの中に、美しさの中に、
私は逃避しようとしているのだろうか。
究極の無駄かもしれないことに
どうして人生丸ごと費やすのだろう?
究極だからだろうか。
時代が移ろっても移ろっても
私たちは一面、愚かなほどにロマンチストだ。
月が綺麗だったりすると
もう未来を手にした気分になるし
世界が味方になった気すらする。
幻惑されるのが
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