日向の壺 /
服部 剛
窓辺の日向(ひなた)に置かれた壺(つぼ)は
ざらつく表面(おもて)を
降りそそぐ日にあたためて
まあるい影を地に伸ばす
窓辺の日向に置かれた壺は
「何者か」の手づくり故(ゆえ)に歪んだ姿
曲がった口から覗いた底に
謎を刻んだ Ω(オメガ) の文字
窓辺の日向に置かれた壺は
ガラス越しの空から燦々(さんさん)と
降りそそぐ日を
曲がった口から飲んでいる
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