ひかり/a.u.i.
切なさにほだされて
歩けなくなる夜
誰かの幸せを唐突に願ってしまう
たくさんのなぜは消化されるはずもなく
刻々と恨みへと姿を変える
私はたくさんの夢を抱えて
たくさんの愛を抱えて
たくさんの言葉を抱えて
それから沈んでゆくのだと思う
耳が痛くなるほどの静寂に
そっとあなたの顔を浮かべた
これでもないこれでもないと
手当たり次第に開けてみては
美しいものばかり出てくるので
鍵をかけてごめんねと言った
大切なものはもっと近くにあるんだ
静寂が夜を仕切っていた
見上げれば月が傾いていて
幾重にも言葉が重なっては崩れてゆく
時折、
最終の通る遮断機の音が沈黙を破った
いつの日かあなたは
わたしとあなたが
溶けて空になる夢をみたと言った
ねぇ 世界はこんなに美しいの
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