暗い浴槽/かえで
水のごとく消えていく幼さ
当然のように突き抜けていく風
僕たちはどうして痛みばかりをみてしまうのだろう
消えていきそうな息づかいをいつからおぼえたのか
僕は偽善のような無償できみを守りたいにのに
もう息ができそうにないんだ
「いつになったらなおるの?」
傷口をおさえて僕に問いかけるきみにももう答えすら教えてあげられない
精々浴槽で向かい合わせになって少しの間見つめあう事しか非力な僕はしてあげることが出来ない
僕たちはさもうここで諦観するのしかないのだと思う
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日々ヤミにとりつかれていく僕らは
もう自分のことすら
痛くていた
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