公園/霜天
思いのほか簡潔な物語の夢が
字幕付きで流れていくのを見送って
目が覚める
昨夜の手紙はまだ届かないようで
筆の跡は今日も乾かない
ささやかな足音で
捨てに行きます
思い出に引っ掛ったもの、を
引き摺るようにして
さらり
流れていかないものを
遅い春の公園では
何かが引き換えられていくようで
引き込まれた人たちは
(街の片隅に生えるように)
心穏やかに傾いているようで
足元から薄い悲しみを滲ませながら
(今も待ち焦がれるように)
遠く声を聞こうとして
散る花は
最後に空を飾って
さよなら、となります
街はまだ一人ではなくて
足跡は大きな一つになった
凍えた窓が少し開いて
それでも手紙は届かない
ここに残ったものといえば
筆の跡は今も温かい
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