渚にて水の者ゆえ/
アマル・シャタカ
ブラウン管に浮かんだ偽物の海を見ていたら
涙が出てきた
涙も海に帰りたくなったのだろう
あれは偽物なんだよと教えてあげたけれど
あとからあとから
俺も私もと押し合いながら零れてくる
それを見たブラウン管が言った
悪いがワシも時代遅れだ
世の中にはもっと綺麗に映してくれる奴らがいる
こんなワシを見て
泣くんじゃないよと
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