エロティックな身体/千月 話子
 
射す空を 見上げれば
冷ややかな空気で凍らせた 霜が
花の下へと降り注ぐ

寒さに耐える真紅の薔薇は
絶え間ない苦痛から逃れようと
幼い棘を 絡め合い
更なる苦痛で 氷を溶かし
花の奥からジクジクと 露を吐く
温もりで開放されて 開花する

成熟した 鋭い棘は
御手にはそぐわず
朝空けには取り離される 定め

同じ匂い 同じ形 虚しい身体

あなたを 忘れない・・・


土の下で交わり根付く 吐息は
繰り返し生まれる 身体

対極の慎ましき エロティシズム
影を宿して あらわに触れる


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愛でられるのは 異性の花々
違う身体を 花瓶に浸す

違う匂い 違う形 愛される身体

羨ましいことなど・・・
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