家族カンバセイション (前編)/たたたろろろろ
であった。壮太が子供の頃などは真知子のガラガラテクニックがあったので、夜泣きに悩まされて睡眠不足、夫の洋はうるさいうるさいと怒鳴るだけで真知子に味方は居らず、日ごとストレスが溜まってしまって、さあ大変、気付いてみれば一家崩壊の危機、というふうにはならなかったのである。真知子はガラガラの名手。壮太は眠る前にほんの数秒真知子のガラガラを堪能するだけで、夜泣きなぞしなかったのである。
昨晩作った、ペットボトルの中にプラスチックの屑が入っているだけの即席のガラガラでも真知子には充分だった。ブランクも感じさせない見事なガラガラ捌きで壮太はたちまち落ち着いた。
「困ったものね」
「ろまった
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