家族カンバセイション (前編)/たたたろろろろ
 
バランスを保って座ることが出来なかったので、ベッドがあてがわれた。真知子は俯いて、自分の座っている椅子を確認するように、前後に小さくきこきこと動かした。

「お気持ちは解りますが、お気を落とさないように」

 壮太はがらがらを自身の小汚いシルバーのロン毛に巻きつけてご満悦の様子で、巨体をばたばた、いや、ばあーったんばったんさせていた。その様子は、壮太の年齢が一桁くらいで、風貌がチンピラのようでさえなければ、微笑ましいものであったが、実際の壮太はどうみても二十三歳のドチンピラであり、小野は、これはこの先お母さんは大変ですよ、というような溜息をついた。そして、私に出来ることなら何でもやります力
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