木ノ声/服部 剛
 
木々が立ち並ぶ隙間の向こう 
若い女が赤いグローブはめて 
いかつい男がかまえる黒いグローブに 
パンチを連打していた 

背後の一本道からやってくる 
よれよれのマラソンおじさん
木陰に立つぼくの傍らを通りすぎ 
スパーリングする男女の傍らを通りすぎ 

見上げると 
頭上を覆う大きい木は 
吹きゆく風に身を揺らし 
重なる葉群れの笑い声 
木陰のぼくに 
ふりそそぐ 




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