メランコリーの砂浜/soft_machine
 

砂浜のちいさなたそがれに汐風をうけて
ふとった子蜘蛛が舞い降り詩集の端の水をのむ
大気中のかなしみも八つにきざみ鋏角にはこび
せんべいのように噛みくだかれたこころ
わたしはお前に咀嚼されながら
はじめてのあたたかいなみだを流す

お前 どこから飛んできた
お前 どこへ飛んでゆく


蜜蜂の毒にしびれた青虫が
うっとりと眠っている
松葉のうえに敷きつまったつつましさ
そこにことばは策を弄するしかできない
太陽に焼かれるすべてのいのちが風に
さらに燃やされるのを眺めるきりで
寝ころんだ背中をいったりもどったり

ことばは 心を語るだけだ
ことばは 鳴きながら
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