5年前のあなたへ/5年後の私より/ななこ
時の流れは 人を弱くする
生れ落ちたときは
精一杯握り締めていた手が
いつしか
力をなくし 藁を掴みすらしなくなっていた
声高に叫んだ
輝かしい未来は
いつしか
金にまみれて 見えなくなっていた
あの人と一緒に眺めた
満天の星が瞬く夜空は
いつしか
出口のないネオン街の迷路を彷徨っていた
あの人との
世界の神々に向けた誓いは
いつしか
崩れ去った墓石の上で読むことができなくなっていた
気がつかないうちに 時は流れるから
気がつかないうちに 私は弱くなる
神様がいるところへどんなに泣き叫んでも
天使は私を指差し 笑いながら言う
な
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