氷/暗闇れもん
 
窓際に並べた氷がとけていくのを眺めていた
わたし以外に誰もいない
広い部屋の中で
ひざをかかえるように小さくなって
息を潜めて

日が落ちて暗くなっていく
とけた雫か
わたしを伝って流れ落ちていく

すり合わせた足の間にも
熱を帯びた体を冷ますようにあふれていく

あふれていく
氷がとけていく音は
わたしではない誰かの名を呼んだ


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