おはよう/水町綜助
い 水で
洗いたての
うみが
打ち寄せてる
なぜだろう白い 波濤
縁取るような緑が
燃えているけれど
まだ
まだ色が見える
たくさんの
語られない
語られるべき
色彩が数え切れない
境界がないから
生々しいそれは
生臭いにおいを持って
肌のうわずみにかわる
いきものの匂いだ
いきているにおいだ
一日中強い風に吹かれすぎて迎えた夕暮れ
鼻先にただよう
か弱い
空白の
鼻腔にやわらかくひろがる
汗の名残の
内出血の
血のこごった
こどくの
か弱い
つよいにおいだ
それをかぐ
かいで
すべてのにおいを
塗って
からだじゅうに
夜のうちに
雲が飛ぶ
静かな胸騒ぎのうちに
塗って
そして
からだじゅうで
おはようを言うから
また生まれた朝
どうか手を振り返して
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