雀舞い/秋也
 
兎や、うさぎ
月ウサギ
飛べや、跳ねよと
浮輪雲
散りて
落ちぬは
朱色の夢
白夜の影から
しげしげと
黙々捧げる
紗羅双樹
掲げて
私は献杯か
庭の桜に
青々と
土間で
ヤカンが泣いている
情緒不安な母君も
低体温でもがいてる
幹に
雀が
寂しげに
鳴くことしらず
止まってる
飛ぶこと叶わぬ
夕日空
ただ待っている
ただ舞っている
下で
兎がいつまでも
星にコガレテ
月夜を探す
跳ねよ、飛べよと
雀を促す
茜に染まる庭桜
こんなにこんなに
沸いている
私も、母も半開き
夕焼け子焼けで
また明日

狩られる
その日まで
猫に狩られる
その日まで
夕日で溶ける
昨日まで
奢れるうさぎ久しからずや

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