【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
 
って彼女を見たらそうするさ。つまり彼女はそのくらい、手の届く(あくまでいい意味でだよ)範囲でのとてつもない美人だってことなんだ。だから僕のしたことは決して間違っていない。間違っていないんだよ。

 さっきから言おうと思っていたんだけど(いやもう言ったかもしれないけど)僕はいささか疲れてる。そろそろ僕を解放して欲しいとさえ思っている。それは僕の自由だ。でもさ、自由って結局なんだい?僕には未だによく分からないよ。お前たちは自由でいいなって言われても、ええ、すみません、と意味なく謝ってしまうだけだ。よく分からないことを当たり前のものとして意識しながら生きる時代に僕らは生きているんだ。
 ああ、もう限界だよ。そろそろ僕は寝ようと思う。全くこんな話をしちゃうなんて。なんて今夜はイレギュラーな夜なんだ。
 ほんと、うんざりするよね。

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