期間社員名簿の備考欄/nakahira
 
苔の生えた、名前入りのアスファルトを運ぶ、マイクロバスがひっそりと、通り過ぎる前から、誰もいないままだった


水島は
埋め立て地
海水が連れていく
セメントのような朝
海水は置き去りに
この町はいつも
水の底


そしてまた、アスファルトはかんぺきから遠くなるのだろう
それでもまた、縮こまり、誰もいない交差点の近くで、朝が来るのを、
緑の糸で、何か植物の刺繍がしてある、固くなった毛布の中で今度は、夜が来るのを、
夜も朝もないただ中で、朝、と言う響きと、夜、と言う響きだけを頼りに、
待っているのだろう
いつもそうであるように
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