アメアガリ/チグトセ
 
ビルの
濡れたところと乾いたところ
海岸通りによく目立つ
あの一枚岩のビルが
晴れ間の舞台に立ち
静かな雑音と共生しはじめたばかりの今
まるで定規で測ったような岩壁のところどころが
濡れていたり乾いていたり

あの濡れたところが幸せのところだとして
だから
いずれは乾いていくんだろう

今日ねあまりにも詮ない事件があったよ
君はそっと空へ受け流す
――別に悲しかったわけじゃあないから
――そうだね
君を送り出したときから始まったんだ
ふいにすることなんてできない
そしてもう一度空へ受け流す

昂翼が翔んで一瞬で消える目の前を
風を
釈明するつもりなんか
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