アンタレス /Rin K
 


   一  アンタレス disk1


君と夜の海辺を散歩していた、
はずなのにいつのまにか
空を歩いていた

頭上に、海
でも今日はよく晴れていたから
涙の一滴も落ちなくて
そういえば君も
今日は快晴で、よく灼けたし
よく笑った

手に届くところに
じゃらじゃらと星が散らばっていて
ふたりして地球、にも似た
大きな円を宙に描いて
この中の星はみんな僕のだとか
わたしのだとか
そう、思えば僕ら、
出逢った頃はいつだって
こんな風だった

ねえ、この赤イ星の名前、知ってる?
すごく、甘い香りがする



   二  シークレット・トラ
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