アンタレス /Rin K
一 アンタレス disk1
君と夜の海辺を散歩していた、
はずなのにいつのまにか
空を歩いていた
頭上に、海
でも今日はよく晴れていたから
涙の一滴も落ちなくて
そういえば君も
今日は快晴で、よく灼けたし
よく笑った
手に届くところに
じゃらじゃらと星が散らばっていて
ふたりして地球、にも似た
大きな円を宙に描いて
この中の星はみんな僕のだとか
わたしのだとか
そう、思えば僕ら、
出逢った頃はいつだって
こんな風だった
ねえ、この赤イ星の名前、知ってる?
すごく、甘い香りがする
二 シークレット・トラ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(33)