要冷凍/nm6
 
フラフラだよ。気持ちよさだけに敏感で先には蓋をして、ぼくは走り抜ける過程に浮いている造花を眺めていたい。官能的な、オブラートで飲み込むそんな気持ちを。


もう少し。あと少し。
夕暮れには、OSを入れ替える時間がやってくる。
さぶらさぶらなオレンジに、まろんまろんなネイビーが溶けてゆくよ。


電車に乗った瞬間に、そこにいるすべての人の顔を見渡してみよう。ひょっとするとそれは、ひどくロマンティックな試みだ。見つけることは全てことばに昇華されて、彼について知る、いくつかのことがらを。椅子に座るぼくが、両端の人にはさまれているという事実。オセロのようにひっくり返って、現在位置を確認する狂おしい毎日です。些細なファンタジーが積み重なって、ばからしく溶けてゆく前に。ぼくらのカウンターパンチは、まったくもって笑ってしまうんだ。


フリーズ。フリーズ。
繰り返すぼくらは、ここぞと停止だ。
すべては皮膚で、凍らせておくべきなのは他でもない。
バランスを三角に崩して咳込んでやってくる焦燥を、
畳み掛ける甘ったれた暗さを、とりあえず全てほうり入れてしまおう。

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