プラネタリウム・アワー/嘉野千尋
えるのがペガサス
講義は退屈だった
眠たげな教授の、眠気を誘う声
僕はこんなにたくさんの星を知らない
星が降るような夜空を、見たことがない
暗闇に響く学生たちのざわめき
その中で少しかすれた君の声だけを
僕はずっと追いかけた
いつだったか
南半球の夜空を映したスクリーンに
君が向けていた憧れの眼差し
南十字星をいつか観に行くのだと
そう言っていた君
君は最後まで気付かなかった
あの夜空を見つめていた君と
同じ眼差しで君を見ていた僕のことを
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