「優しい人になりたい」/和 路流(Nago Mitill)
 
目を逸らさずに、君の隣に立つ。
苦笑いせずに、君の名を呼ぶ。
そんな日が、いつか、いつか来るだろうか?

嘘吐きと、君に言われるのが怖い。
強く約束できない、自分も怖い。
予測できない闇の向こうの未来に、僕は ただ強く震える。

強くなれたはずのチャンスを、僕は幾つも見過ごしてきた。
自分に優しいだけの世界で、自分を包むのが好きだった。
傷つけられるのが怖いから、優しいふりをしていただけで、
僕は本当は、優しい人なんかじゃなかったんだ。

だから、君の優しさが怖くて、信じられなくて、
でも、眩しかった。
そして、つらかった。
君の隣で、その
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