白梅/ピクルス
 

かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました

家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云えぬまま静かに会釈をして

手に入れた人は語り始める
喪った人は黙り込む
この人でしょうか
その人ではありません
手紙には感謝の言葉ばかりが並んでいたそうです

前髪に月が触れる帰り道
給水塔には鳥の神様がいらして
遠くの河を覗き込んでは
死ぬるよりマシだ、と呟かれた
そういうふうに出来ている

かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいますか

笑っ
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