辺境の路/
小川 葉
、生きる路を持てない人間は、どう生きればよいというのか。
ついに、国境に着いた。
蟻たちが、毛虫の死骸に寄りたかり、巣へ引きずり込もうとしている。十匹ばかりの労働力がかせられた。蟻の何倍も在る毛虫の死骸は容易に動かぬ。それでも蟻は、あきらめぬ。
蟻さえ、あきらめぬ。
仕合せなのだろうか、蟻は。おそらく仕合せなど知らぬ。じつに下等である。おれは今、それ以下となって、自分の正しさを証明してみせよう。
阿呆、阿呆と、鳥が鳴いた。
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