体温/朽木 裕
両の手で抱え込んだ頭が生きているかどうか
確かめるために むに、と頬をつまんでみる。
―反応なし
つまんだ指を瞼に移動させて白目にしてみる。
―反応なし
「生きてるよ、なぁ?」
強めに前髪を掴みあげて上を向かせ口付けひとつ。
すんなり開かれる瞳。
「狸寝入りなんて100年早ぇよ」
前髪掴んだ手はそのままで睨むとニッコリ破顔。
「やったぁキスしてくれた」
―え、論点そこですか
途端にペースを乱される、のはいつもの事で。
寝息も聞こえない、耳鳴りでレクイエム聞こえる部屋より余程いい。
かたわらで近しい人が眠るのは安心だけど不安。
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