バランス世界/霜天
 
かちかちと
音を投げる時計に
埋め込まれた私達
いつもためらいがちになってしまうから
いつまでも流れに乗れなくなってしまうね


間違ってないなんて
そんな言葉は難しくて
傾いて見える世界で
何を見ていたのか
そんなことも曖昧になってしまう

落ちてしまえば
遠く遠く
道端のマンホールの蓋の内側みたいな
そんな暗さに捕まってしまいそうだから

かちかちと
押し寄せる秒針の側で
懸命にバランスをとる
つま先立ちでは耐えられないんだ


通りをなぞる風の仕草を真似たい
柔らかで強くて優しくて無心で
あのバランスが
今は欲しい
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