空/はじめ
続ける それは太陽が完全に沈んだ時だ 子供の頃の低くて狭い空に向かって星空の下を駈け続ける そしていつか結んでいた手が溶けて僕は子供の頃の空に入り僕は一人になる 空を見上げて君の八重歯の欠片を握り締めて草むらに倒れて笑う 握り締めたものは砂となって消える 僕は子供の頃に見れなかった星空を見ている それは冷たくて吸い込まれそうで 僕の脳味噌を冷たくする 爽やかな風が通り過ぎて僕は眠気を覚える 僕はそこで深い眠りに堕ちていく
そこで夢は終わり 僕は再び少し大きめの空の下で暮らし始める まるでブカブカのトレーナーを着ているようなぎこちなさで毎日の生活を送る 殺人など無い世界で淡々としたしかし少し憂鬱な日常 僕には少し息苦しい日々だ もうあの頃には戻れない諦念と追懐の思いが胸を焦がす あの頃の空は今の僕にとっては偉大で寛容だった
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