柘榴/
ユキムラ
「ねぇ抱いて。」
それだけで良い。
他には何も要らない。
何もしないでいて。
―――御前に其れ以外何の価値が在ろうものか。
自ら鏡を覗き見た事は有るかい?
其処に映ったものは、さぞかし滑稽なものだったろうね?―――
僕は血を流している。
体の全ての穴から、止め処無く溢れ出る真っ赤な液体。
この血は止まらない。
流し切る事は皆無。
此れは僕の罪。
消える事の無い、僕の汚れた記憶・・・。
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