母子像 〜港の見える丘公園にて〜  /服部 剛
 
冷えた石段に腰かけ 
振り返ると 
木々の茂みの向こうに   
巨(おお)きなH型の下を潜(くぐ)り 
無数の小さい車が行き交う 
横浜ベイブリッジ 

( H型の四隅 
( それぞれに点滅する
( 真昼の星々 

二本の大きなポプラの間に 
ふたりの子供を座って抱(いだ)き 
うつむく母の像があり 
小さい両手を胸にあて 
瞳をみ開く少年は 
ふらりと訪れたわたしの方を 
じっとみつめる  

うつむく母に 
呼ばれるように腰をあげ
3人の前で佇む 

碑文に刻まれた
20年前の悲劇 


  昭和52年9月27日 
 
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