思想と思想のはざまにあると/ブライアン
 
夜遅くなると、信号の光は点滅をはじめる。このあたりは極端に人通りが少ない。点滅するわずかな光は、田の上に舞う闇を追い払えずにいた。道路わきに点在する街灯も、闇の支配にされるがままであった。
自転車にまたがり、両手を伸ばす。闇に踊る鳥を捕まえるためだ。
冷ややかで、飛び立つことのない闇に踊る鳥を。

午前中に差した、温かで、優しげな太陽の光は、大量殺人を見守っていたのだ。今、ここで、川面に映し出される斜陽の空。かつての栄光のために着水するミサイルは、輝くものばかりで飾られた、大都市をまたいでいく。
だが、それを追いかけるだけの視力はすでに失われていた。

自転車をこぎ続ける間、一切の暴力は忘れずにいる。闇を抜けるために、橋を越えるのだ。高速道路のような、鄙びた街の道の上に、闇は一切の沈黙を了解する。
世界の果てを目指すのではなく、帰宅するだけの道が続いている。

午前中の大量殺人のスイッチは、斜陽のミサイルが押したのか?
家にたどり着くには、まだ時間がかかる。
世界の果てにたどり着くのではないかと思えるほどに。

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