暖冬の夕方の夢/はじめ
 
 部屋はおでんと25年前に母が買ったサーモンのシルクのブラウスをアイロンがけした匂いで満ちていた 母や妹の衣類が僕の部屋のクローゼットに入っている 家が狭い為だ 明日妹が着るブラウスをクローゼットのでっぱりにかけている 下からおでんの匂いが漂ってきているようだ
 僕はアイロンがけしたブラウスの熱で暖かくなったのかそれとも部屋のヒーターの熱で暖かくなったのか分からない部屋で気持ち良くなり布団に倒れた
 うつ伏せに寝ていると心臓の鼓動がちくちくと痛い 僕は時計を見た 午後5時10分を少し過ぎたぐらいだ 僕はふぅーっと溜め息をついた 何もやることがない しかし瞼が重い このまま眠ってしまおうと思った
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