だから決着/秋也
過去にはだれも戻れない
だから、決着をつけよう
女性になった彼女が「やっとかよ」って呆れている
でも少し嬉しそう
だから、わかった
僕はずっと寂しかった
僕はずっと怖かった
あの日がどんな形であれ終わることに
これからが始まっていくことに
世界は胎動していても変わらない
僕らにとってはずっと産まれ落ちない胎児のよう
幾十枚も連写したような静止画像
まるで焼き増し
だから、そこに一羽の鳥を飛ばすようなもの
僕と女性が初めて会って
いつまでも囚われて離れられないこの場所
決着つけるならここしかない
僕の傍らには一人の幼い子が
君は一人
僕らの子じゃないのがすごく悲
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