メランコリア <迷図1>/クリ
 
迷路のような部屋に住めたらいいと思ったのは、もっと子供の頃だ。

ちょうど眠りを妨げる量のアルコールのせいで夢を見たままずっと起きていることになる。
経験のある人なら分かってくれるだろうが、そういう類いの夜明け前は、

 「俺だけが世界でたった一人、掘り出されてしまった蝉の幼虫のようにもがいているんだ」

それ以外の感じ方をすることなどなくなってしまうのだ。
どうしようもなく悲観的になってしまった俺は、とうとう、古式ゆかしい入眠儀式を執り行うことにする。
まず利き腕でないほうの腕を内側回りに約30度、反対回りに約60度ひねってから一度肩側に押し込み、
一気に引き抜き、頭の下に持
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