老残の歌(十)/
信天翁
おらが生来から背負っている
汚血の伝統とはちがって
みどりの血をたぎらせている
瑞々しい早苗月の樹木たち
その生態に焦点をあわせようと
気づいたのは やっぱり
齢のせいなのだろう
プロムナードのはずれにひろがる
羊田にはもう農業用水が注がれ
田植えの準備が始まっている
そして はるか地平の高圧線では
ときいろの火花が散っていた
みどりに染まった丘にむかって
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