暗渠/
月夜野
目を持つわたしたちは
帯電した流れこむ粒子を
たがいに暗渠(あんきょ)のようにのみこんで
下方へとあふれさせただけだった
やがて石の中で水がよどみ
樹木の中で火が燃えだし
わたしたちはどちらともなく目を伏せて
つないだ手と手を離したのだった
じっとりと露にぬれた草むらの奥で
かぼそい水脈が生まれでて
傍らの側溝へ注がれていく
ちろちろと小さな舌でわたしを浸すと
暗がりに嵩(かさ)をたたえた地底の沼へと
水は音もなくのまれていった
戻る
編
削
Point
(17)