暗渠/月夜野
 
目を持つわたしたちは
 帯電した流れこむ粒子を
 たがいに暗渠(あんきょ)のようにのみこんで
 下方へとあふれさせただけだった

 やがて石の中で水がよどみ
 樹木の中で火が燃えだし
 わたしたちはどちらともなく目を伏せて
 つないだ手と手を離したのだった
        
 じっとりと露にぬれた草むらの奥で
 かぼそい水脈が生まれでて
 傍らの側溝へ注がれていく
 ちろちろと小さな舌でわたしを浸すと
 暗がりに嵩(かさ)をたたえた地底の沼へと
 水は音もなくのまれていった




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