【小説】彼女の「思想」とサンドウィッチ/なかがわひろか
彼女は朝からずっと「思想」をこねたり、伸ばしたり、丸めたりしている。
僕は寝巻き姿のままで、その姿をビールを飲みながらずっと見ている。彼女が試行錯誤している姿を見るのは僕の週末の一つの過ごし方の典型となっている。
もちろん彼女が概念としての「思想」を本当にこねたり、伸ばしたり、丸めたりしているわけではなくで、それはあくまでメタファーとしてなんだけど、とにかく時々彼女はそんな風に物思いに耽ることがある。
彼女がメタファーとして「思想」をいじくっているときは、前の日にとても嫌なことがあったときだ。
きっと会社帰りの飲み会かなんかで、彼女のいろいろなこと(それはきっと特定のこと
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