フルムーン/
ななこ
小さい頃
夜空をくりぬいたかのように
真っ白な 満月に
追いつこうと 夜の街を走ったことがある
いつまで走っても
いくら転んでも
どんなに叫んでも
満月は遠くて
ちっとも近づけなくて
おばあちゃんが言いました
「お月さんはすごくすごく大きいんやけどね、すごくすごく遠いんよ」
その話をすると
あなたは笑って
私の頭を撫でただけでした
ねぇ あなたにたとえ話は難しかったかしら?
私は その頃から
あなたと私の距離を 知っていたのに
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