新川和江氏への手紙 〜名詩を読む?〜 /服部 剛
 
 今僕は、「生きる理由」という詩集を開き、アンソロジーである 
この詩集の最後を飾る「はたはたと頁がめくれ・・・」という詩を
読もうとしています。海を見る時に何を想うかは、その年齢によっ
ても感じ方が違うものでしょうが、この詩を読み始めると、初老を
迎えた独りの女性詩人が浜辺の岩に腰かけて、潮騒に耳を澄まして
いる情景が浮かんで来ます。 


{引用=はたはたと頁(ページ)がめくれ・・・ 

         新川和江 

波打際に 
日にいちど わたしが 
腰をおろしにくる岩がある 
岩はいつからここに在るのか 
たぶん 海と陸地が 
分かたれた日から 
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