導火の後/
ICE
ある夜から、ガラス球が衝突によって砕ける事さえ悦んだ。
哭いても仕様がないのに、ひとつにはなれないのに。
まるで知らない、仄明るい迷路を彷徨う内に。
はしり火、彗星の尾ひれ、その燐光を追うように日脚は過ぎる。
引力ほど恒ではない磁力のような等しい双方向性もない、何らかによって、今。
もう戻れない事にはどちらも、気づいてしまったのだから。
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