5月の職員室/ピッピ
 
高校時代に覚えたはずのプリントを、全部捨てることにした。
色褪せすぎた高校一年生のプリント。黄ばんだ。
そこからのフラッシュバック。剛球が、脳に。
もう二度と触れられないものたち。
高校の思い出が残像で。残像は残りはしない。
香りのない世界。焦らす世界。
常にツーアウトだったバッターボックスっぽく。
ただ退屈な溜息がチョークで汚れ、
その空気がさんさんと輝く五月の窓を濡らし、
外へ、放り出されること。それだけが、僕の目に。
黒板は緑だった。裏切られて。僕はノートに書いた。
詩を。それは黒板には書かれていない。偽の。
退屈だった。右耳から左耳へ、
例えばインダス文明の何か、
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)