浮島/千波 一也
 


さかずきが、
まわる


 ひとづてに咲く
 ゆめまぼろし
 を
 
 裂いては遠のく
 かなしげな、
 さめ


ゆびさきに乗る
花びらが、
よる

わからぬままの方角は
なおうつくしく
影を研ぎ


 ふれる、かぜ

 かおる、
 とき

 かりそめの陽に
 華やいで
 
 いたみ、
 まどろみ、
 かんむりは、つゆ、

 いつの波にも
 牙、こぼれ
 
 
声は
向かう

いさぎよき、
かなたのためだけに

おぼえておけない
微笑みで








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