いつまでも/doon
 

 フィルターに覆われた声は
 当時の僕と今の自分が
 感じる誤差
 あの頃はもっと
 悲しかったはずなのに

 ガシャァン
 硝子 の割れる とても綺麗 な音

 そう
 あの後から
 僕は心を失う時期が来るんだ
 知っている
 お前が泣いている理由も
 分かってる

 歩道を渡る大人たち
 もちろん誰もあの子に手をさし伸ばさない
 見えないんだから仕方がない

 僕だけが僕を見ていた

 瞳の色を失う
 知っているから
 僕は歯を食いしばって
 目をそらす以外にできなかった

 泣いているのは僕だったんだ
 過去とか希望とか夢とか
 本当は何にも無い言葉の明るさなんか知らないで
 あんなに落ちていって

 泣いている声
 いくら積み重ねていっても
 あれだけは変わらない

 僕はほかの大人達と同じように
 それ以上見ないふりして
 夜の街を歩き始めた

 泣いている声
 聞こえる
 まだ、聞こえる
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