いつまでも/doon
 
 泣いている声
 穴が開いたように
 暗い底から聞こえてくる
 だけども姿は見えない

 夜の東京
 もしかしたら聞き間違いだったのではないのか

 射光する物体が通り過ぎ
 ネオンの森が共鳴する

 見ているんだ
 ごく自然に流れていく中の
 壁という壁の中に
 なにかがいる

 生きている先にこんなにも
 楽しいことがあると知りもしないで
 声の主は
 悲しみに色を塗りたくっている

 あれは僕だ
 幼い頃の自分じゃないか

 近代的なビルの片隅に残された
 古い一軒の見知らぬ家
 欠けたブロック塀
 僕はそこにいた

 泣いている声
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