アンダンテ/霜天
言えば
笑ってくれる人はどれくらいいるだろう、とか
容量は、人それぞれで
ポケットに手を入れっぱなしで歩く僕らは猫背だった
鳥よりも花になりたいと願う人
飛び出せるとは思えなかった
日向に眠る花が枯れる頃には
誰もそこにはいなかった
*
ゆっくりと進化は始まって
ゆるやかに止まっていく
いつも誰も気付かずに終わって
気付くものでもないのかもしれない
間違えた言葉を吐き出す頃には
道は静かに曲がり始めて
手のひらにはしみのようなものが残ってしまった
ただ回るだけの時計の針を、少し自由にしてやっても
またあの回転の中に戻っていく
今も、遠くも
白い壁のあの窓は狭いままだし
僕の手はやっぱり、飛び出せそうにない
ポイントは、スロウ
転換点に於いて出せる答えは
スロウ
スロウ
スロウに速く
僕らはあの頃を追い抜いていく
結局、捨てるものなどそこにはなくても
歩くように、速く
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