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ささやきとゆめとで満たされている

乳白色の匂いが駆け巡り
スカートの裾と共に影がゆれる

したたかに群れるとりどりの手足に
手招かれるのは
おなじ匂いをさせる 少女

この繭の中のような空間で
ささやきあい
笑いあうのは
少女達なのに
皆 互いの
ほんとうのなまえを
知らない



 

あらゆる嘘を吐いて
少女は
自分と世界をないまぜにする


触れるほどに
輪郭を肥大させる少女
暗やみを怖れ
夜の帳に刃を入れようと
あらゆる嘘を吐く
あいする と言う
夜明けに
なにもかも映し出される
寄り添う隙間が
あらわ
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