FOR  YOU/美砂
 

あなたが わたしを
過去のこととして
話すときがいつか
くるのかな。
だった・・・だった・・・だったって。

時間は無限に循環しているといいます。
じゃあ、この風はどこからきたの?

十年前の五月 わたしは花嫁姿で
三十年前の五月 わたしは母に抱かれていた。
もしかしたら
三百年前の五月 わたしは教会で
オルガンを弾いていたかもしれない。

そして今
五月の空の下で
あなたは 去っていった恋人のことを
話している。
わたしをみつめたままで
だった・・・だった・・・だったって。

時間が無限に循環しているのなら
今ここにいることだって錯覚かもしれない。

それでも
あなたの前髪が風に揺れている今に
あなたの腕がのびてくる今に
あなたの唇がわたしの唇に ふれる今に
いたいよ

ずっと、ずっと
いたいよ。

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