道中脱落/秋也
 
だれかと手繋いで歩くかもしれない」
「いいよ大丈夫、ほんとごめん」
「もう謝るな、ここまでありがとう、ここで終わることは正直ショックだけど、お前と歩けて嬉しかった」
「俺も、君と」
「またな、手離すよ、絶対またどこかでまたな」
「ごめん、ごめん、ごめん、ごめ」
「謝るな、泣くな、こっちだってさ、うう」
「ありがとう、ずっと大好き」
風が止み
あの子は見えなくなり
俺は残る
ずいぶん前からこうなることわかっていた
申し訳ないけど
避けられないことだった
ずっと、あの子が握っていてくれた手が
今は寂しく冷えはじめる
遠くまで歩いた
それでも、先がある
先を歩いている
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