酩酊名店街/たたたろろろろ
下衆な旅人たちの呼吸がいやらしく明滅して、風がその隙間を縫うようにして湿ってゆく。隣を行くふじたくんは普段より一回り大きくなって、顔面をぬらぬらとひからせる、るるりら、ひかり、揺れているのは、おれのこの急性の千鳥足によるものではなくて、必要以上に冴え冴えとしている脳細胞の、きらきらとカオス、まぼろし、ならばマスターオブセレモニーのおれはもっと空気をぐんぐんと押し上げる、押し上げるべからざりけるなりーーーーっと、ふじたくんはいいからもう一軒行くぞと、じゃんじゃか飲め呑めと、なにもかも忘れてしまえと、無になれと混沌となれと、至極矛盾したことを言いやがっておれを煽るけれども、まあ待て待てカオス
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